2025/08/02 17:18

7月22日、オジ―・オズボーン氏が死去。76歳の人生に幕を下ろしました。ヘビーメタルの生みの親ともいえるオジー・オズボーン氏。ブラック・サバスやソロ名義での活動にと、1970年から2025年。つい先日までヘビーメタル界・ロック界の帝王としてシーンを牽引し続けました。
グラミー賞での最優秀ロックアルバムの受賞や最優秀メタル・パフォーマンス賞、ロックの殿堂入り等、輝かしい功績を持つオジー・オズボーン。しかし、彼の人生は順風満帆とは程遠いものでした。

生い立ちは1948年、イングランド中部のバーミンガムで労働者階級の家に生まれます。学校にほとんど行くBLACK ことも無く、小銭を稼ぐために盗みを繰り返す少年時代だったようです。
15歳で学校をドロップアウトしたオジーは、バンドメンバーを募り、「アース」というバンドを結成、1969年にはバンド名を「ブラック・サバス」に改名し、翌年1970年に自費レコーディングにより、"BLACK SABBATH"(黒い安息日)にてデビュー。
1977年に一時脱退、1978年に正式に脱退し、ソロ活動を開始しますが、この頃のオジーは「この頃の記憶がほとんどない」とコメントをしているほど、薬物と酒に溺れ、また最愛の父も死去するなど、不安定な精神状態に陥っています。
しかしながら、1979年オジーはランディ・ローズと出会います。ランディとの出会いはオジーにとって刺激的な出会いだったのでしょう。オーディションの為にランディがオジーの泊まるホテルに行き、ギターのチューニングを開始すると同時に、オジーは「君に決まりだ!」と言った逸話が残されています。いわく、ランディの全身から放つ、オーラに惹かれたと言われています。

その後のオジー・オズボーンは1980年に名曲Crazy Trainをリリース。アルバムは全英15位、翌81年にはファーストアルバム「BLIZZARD OF OZZ」が全米でリリ-ス、10月にはセカンドアルバム「DIARY OF A MADMAN」が発表されるとプラチナムディスクに輝き、アメリカでも大規模なアリーナツアーを展開します。

しかし、新たなキターヒーローであるランディ・ローズを加えたオジー・オズボーンの最も輝いていた一時代も、突然幕を閉じます。全てが順風満帆に進むと思われた矢先の翌年1982年3月19日、ランディを乗せた小型飛行機がフロリダ州リースバーグにて墜落し、操縦士とシャロン・オズボーンの古い友人であるメイクアップ・アーティストを含む3人がオジーの目前で即死。若きギターヒーローが才能を開花させようとしていた矢先の出来事でした。ランディ・ローズ享年25歳。

ランディの死はオジーにとって大変なショックで、ブラック・サバス時代以上に薬物や酒に溺れ、手が付けられない状態だったそう。この影響で、オジーは一度引退している。

1991年になるとオジーは名盤「NO MORE TEARS」をリリースし、ソロキャリア初のグラミー賞を受賞。セールスはソロキャリアの中で最高を記録しています。その後はOZZMOSIS、DOWN TO EARTHを展開し、再びブラック・サバスにも力を注いでいきます。
一時は立ち直り順調に見えましたが、2020年、オジーはパーキンソン病を患っていることを公表します。これにより身体的な状況を理由にツアー活動からの引退、ヨーロッパ・UKツアー活動もキャンセルすることに。。。
先日の7月5日に開催された10時間にも及ぶロックイベント「Back to the Beginning」では、オリジナルメンバーによるブラック・サバスとして、またソロとしてのキャリアを締めくくる最後のコンサートとしての「集大成」とすることを発表していました。

そのイベントのサポートアクトは本当に豪華で、アンスラックス、スティーブン・タイラー、トム・モレロ(イベントの音楽監督兼任)、ジェイク・E・リー、ヌーノ・ベッテンコート、サミー・ヘイガー、ルディ・サーゾ、チャド・スミス、ロニー・ウッド、ヤングブラッド、トビアス・フォージ、ガンズ・アンド・ローゼズ、パンテラ、トゥール、ラム・オブ・ゴッド、ゴジラ、マストドン、スレイヤー、メタリカなど、ヘヴィメタル界、ロック界を代表するミュージシャン、バンドが次々とステージに登場し、オジー・オズボーンが如何にメタル・ロック界に影響を及ぼしていたのかを感じてしまいます。
これらの映像はSNS等で少しづつ観ることができますが、これがもうね、観ると涙がでてくるんですよ。
病にも負けず歌う姿を見ていると、オジーの魂が見えるようで、切ない気持ちの反面、ロックンロール・メタルという人生を歩んだ男の生きざまというか、なんだか言葉に出来ない感情が溢れてきます。
そのイベントの僅か17日後、オジー・オズボーンは76年の生涯を閉じることになりました。
Back to the Beginningはオジー・オズボーンの人生そのものと言えるようなイベントだったのだと思います。

世界中に愛された闇の帝王、オジー・オズボーン。
彼ほど熱狂させてくれるアーディストは、他にいないのではないかとも思ってしまいます。
オジー・オズボーンさん、素敵な音楽をありがとうございました。
